ラッピングの奥深き世界ここにあり!ラッピングの魅力を発信する専門店

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レガーロパピロ 東京店店長 石舘尚子さん

いまこそリアルの店や場所が必要だ

カラフルでキュート。ユーモラスでチャーミング。鳥越にあるラッピングペーパーの専門店、レガーロパピロに足を踏み入れると、多種多様な色や柄のラッピングペーパーが目に飛び込んできます。

売り場に入って右側の壁に並ぶのは海外から仕入れたラッピングペーパー。その国の個性が感じられます。

こんなにたくさん、オシャレで可愛い包装紙があるなんて、こんな店、ほかに見たことない。ラッピングペーパーを見るだけで思わずうきうきとハッピーな気持ちに包まれる–。そんなユニークな魅力を放つ同店は2021年6月にオープンしました。

ラッピングペーパーに加えて、ラッピングがより楽しくなる雑貨や文具類も充実しています。

2021年といえば、まだコロナ禍の真っ只中。福岡市内に本店があるレガーロパピロがその時期に東京に進出したのはなぜなのでしょう。

「もともとオンライン販売がメインなんですが、以前から首都圏からの注文が多かったので、オーナーはいつかは東京に店を出せればと漠然と考えていたようです。コロナの影響で、それまで出店していたイベントのほとんどが中止になってしまったときに、こういうときこそリアルの店や場所が絶対に必要だと感じて、念願だった需要の高い東京への出店が決まりました」

昔から大の紙好きだったという石館さん。同店の店長は天職といえそうです。

そう話す石舘尚子さんは東北出身。東京店の立ち上げにあたって、北海道から東京に移り住み、東京店の店長に就任しました。もっとも、レガーロパピロとの縁はその前から続いています。幼い頃から紙、とりわけ包装紙が大好きだった石舘さんは、以前からレガーロパピロの大ファンでした。

「包装紙は使用範囲が広くて、絵柄も色も豊富なのが魅力。幼い頃から包装紙を集めては手を加えていました。友達の結婚式のご祝儀袋はすべて自作のオリジナルです。レガーロパピロのこともよく知っていたので、2年前に福岡本店がスタッフを募集していたときに迷わず応募したんですよ。そのときは残念ながら縁がなくて採用には至らなかったのですが、東京店立ち上げ時に、私が以前レガーロパピロに書いていた手紙をオーナーが思い出してくれて、店長として働かないかと声がかかりました」

以前、石舘さんは「出展者に手紙を書こう」という紙博のイベント企画に参加し、出展者のレガーロパピロに手紙を綴ったことがあります。いわば強烈な愛好家からのファンレター。その内容を知るすべはありませんが、文面に紙や包装紙やレガーロパピロへの愛情が満ちていたことは確かでしょう。石舘さんのパッションが時を経て、東京店店長という実を結んだのです。

遠方から足を運ぶお客様も少なくありません。ラッピングペーパーに特化した同店は貴重な存在です。

ラッピングを楽しむ選択肢が増える

石舘さんを魅了してやまないラッピングペーパーの世界。レガーロパピロはその魅力を余すところなく表現している専門店といってもいいでしょう。売り場には、オリジナルのラッピングペーパーをメインに、世界各地から仕入れた個性的なアイテムがずらりとラインナップされています。

オーナーがデザインしているオリジナルのラッピングペーパー。そのバリエーションには驚くばかりです。

27.7×40cm(A3より少し小さい)サイズが中心のオリジナルペーパーは常時100種類以上。すべてデザイナーでもあるオーナー自らデザインしたもので、1年ほどで1/5ほどが入れ替わります。驚くのは、テイストやトーンが異なるデザインが揃っていることでしょう。しかも、そのどれもが完成度が高く、洗練されています。花、植物、動物、文具、果物、スイーツ、妖怪、力士、タイル。さまざまなモチーフを自在にアレンジし、オリジナリティにあふれたラッピングペーパーに仕上げる技は「感嘆」の一言です。

一方、輸入もののラッピングペーパーの種類は約200。サイズは50cm☓70cm前後のものが多く、ネパールやアメリカ、英国、インド、オーストラリア製が品揃えされています。

ネパールのラッピングペーパーは独特の色彩感覚と手触りの良さが特徴。ユニークな味があり風情があります。

仏教の経典に使うなど紙づくりの長い歴史と伝統を誇るネパール製手漉き包装紙の豊かな色彩感覚と手触りの良さ。両面印刷されたオーストラリア製包装紙の大胆な柄や色、厚手の仕上がり。どれもお国柄を感じずにはいられません。商品を見ていると迷ってしまってなかなか決められない、という来店客が多いのは当然でしょう。

表と裏の両面が楽しめるオーストラリアのラッピングペーパー。どのように包もうか。アイデアが膨らみます

「ただペーパーを見るのが好きという方も多いんですよ。ラッピングが目的で来店したという方は半分くらいでしょうか」

リボン、マスキングテープ、シール、カード。売り場にはラッピングという行為を楽しく演出する雑貨類も充実しています。壁面に飾られているのは、ラッピングした大小さまざまな箱たち。ラッピングペーパーやリボン次第で箱が異なる表情を見せてくれることを実感できるディスプレイです。

こんな包み方ができるんだー。箱が飾られた壁一面のディスプレイを見るとラッピング意欲が高まります。

「いろんな方に気軽にラッピングしていただきたいと思います。ラッピングした箱があれば『この箱を包むにはどれぐらいのサイズのペーパーが必要なのか』と、だいたいのサイズ感がつかんでいただけますから」

売り場には、ラッピングペーパーでリメイクしたアルコールスプレーやウェットティッシュなど日用品も置かれています。一手間かけてラッピングペーパーを貼ることで、いきなり生活感が消え、おしゃれなインテリア用品に変身するーー。そのアイデアに触れることで、ラッピングペーパーを楽しむ選択肢が増えていきます。

ラッピングペーパーを貼るちょっとした一手間で日用品から生活臭が消えるから不思議です。

「お客様の楽しみ方に私が刺激されることも多いんですよ。こんな風にラッピングペーパーを組み合わせるんだなと驚くような組み合わせもありますから。でもこれまでに一番びっくりしたのは、奥様のプレゼントに使いたいといって来店された男性客のケースでしょうか。奥様の年齢の数だけプレゼントを贈りたいからといって、28種類のラッピングペーパーを購入されました。リボンもすべて異なるリボンです。素敵なプレゼントの贈り方だなと思いました」

ペーパーを軸にラッピングの楽しみ方を提案しているレガーロパピロ。レガーロパピロを活用して、思い思いにラッピングを楽しんでいるファン。両者の相乗効果で、レガーロパピロを舞台にしたラッピングの世界の奥行きはさらに広がっているようです。

モノマチ参加で客層が広がった

レガーロパピロ東京店がモノマチに初参加したのは2022年。

「開店したときに挨拶に行った先々で、『モノマチに参加したら』と声をかけていただき、参加しやすかったですね(笑)。最初の年は、カキモリさんやくるみボタン工房MiSuZuYaさんとコラボをしました。今年もたくさんの方に来ていただきましたよ。当店はいろいろなイベントに出ていますが、紙博以外ではお客様の数はモノマチがナンバーワン。モノマチを機に店のことを知ったといって、以後も来店されるお客様も多いです」

モノマチ2023では、カキモリ、くるみボタン工房MiSuZuYa、ルーズリーフ専門店Stitch leaf、手作り手芸キットの専門店さくらほりきり、台東デザイナーズビレッジに入居しているテキスタイルブランドのmumeaという5つの店とコラボを実施しました。

「さくらほりきりさんとのコラボでは、レガーロパピロの紙を使って、まんまる可愛いペン立てが作れるワークショップを開きました。場所はさくらほりきりさん。ここでワークショップを開催するのは難しいですからね。当店のお客様は若い方が大半なのに対して、さくらほりきりさんは年齢が上の方が多いので、お互いに客層を広げる良い機会になりました」

モノマチにはこれからも参加したいと話す石舘さんは、今後に向けて、あれこれプランを巡らせているそうです。

「モノマチエリアにはものづくりの技術が生きています。モノづくりの町の技術をぜひ使わせていただきたいですね。素材屋さんも多いですから、やれることはたくさんあると思います」

レガーロパピロを訪れれば、贈り物をより魅力的に見せてくれるラッピングペーパーのマジックに触れられるはず。

紙が好き、手を動かしてモノを作るのが大好きという石舘さん。これからもラッピングペーパーの魅力を積極的に発信してくれるに違いありません。モノマチもその情熱に応えたいと思います。

 

レガーロパピロ 東京蔵前店
東京都台東区鳥越2丁目2−7 杉本ビル 1階
TEL : 03-4362-9868
URL : https://www.regaro-papiro.com/

Photo by Hanae Miura
Text by Fukiko Mitamura

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