モットーは「便利・快適をカタチに」 コレクター心に刺さるアイテムならお任せ!

読み物

透明のフィルムに紙をファイリングできる「ニューホルダー」誕生

テージーという会社をご存知ですか。たとえ社名は知らなくても、仕事をしている方なら一度は同社の製品を目にしたこと、手にしたこと、使ったことがあるはずです。

「便利・快適をカタチに」を実現し続けてきた会社、テージーは今年で創業115年を迎えました。

というのも、テージーはクリアポケットを始めとする各種ファイルの専門メーカー。「便利・快適をカタチに」をモットーに数々の商品を世に送り出してきました。日本のオフィスや働く現場の必須アイテムを手掛けている同社の歴史をまずはちょっと振り返ってみましょう。

テージーの創業は1909年。紙製品の卸売業、玉越商店としてスタートした同社を大きく変革したのが、1937年に初代の跡を継いだ二代目の玉越善太郎社長です。戦後、高度経済成長を背景に「世の中に役に立つ製品を!」と製品開発に取り組んだ玉越社長は海外視察先のスウェーデンで透明フィルムが綴じられた帳面を目にしました。ときは1959年。見たこともない製品をヒントに、社長は2年の月日をかけて画期的なアイテムの開発にこぎつけます。それが1961年に発売された日本初の透明ポケット式ファイルの「ニューホルダー」。透明のフィルムに紙をファイリングできる製品です。

テージーの事業の根幹ともいえるファイル製品。オフィスで幅広く使われています。

「それまでは書類を束ねようとすると穴を開けて綴り紐で綴る方法しかなかったそうなので、飛ぶように売れたといいます」(担当のAさん)

1964年には「ニューホルダー」のアイデアを踏まえて、新しい切手帳「スタンプアルバム」を開発しました。当時は空前の切手ブーム。集めた切手を大切に保管できるアルバムはコレクター心をくすぐり、大ヒット。「私もこんな風に切手を集めたい」というコレクター層の拡大にも大きく寄与しました。

その後も同社の斬新な製品開発は続きます。PPを表紙に使ったシリーズ、「コインアルバム」「コレクションアルバム」などの趣味関連製品、表紙とリングが一体になった特許取得のホルダー「File it」。それはもうあげていくときりがありません。

映画のポスター、イラスト、大相撲の番付表などを保管する日本初の透明ポケット式ファイルの「ニューホルダー」は現在も1冊ずつ手作業による生産をしています。表紙が固くて耐久性がある。それでいて中身を見やすく整理しやすい–。テージー製品が支持されている理由はそこにあります。

大判ポスターやレコードなどもファイリングできるテージー製品はコレクターの強い味方。

趣味や推し活など個人が楽しめる製品開発を強化

そして115周年を迎えた2024年。テージーは事業の軸として3つの方向性を打ち出しています。一つは主にビジネスの現場で使用されるファイル事業、2つ目はコレクション用アイテム事業。3つ目が3年ほど前からスタートし、よりコレクションに特化した限定アイテムを扱うオンラインショップのコレモbyテージーです。

担当者のAさんは言います。

「文具業界は少子化を背景に文具店もメーカーも減る一方。一般の方が文具をたくさん使うという時代でもありません。そこでいま当社の開発現場ではパーソナルユースにフォーカスして、趣味や推し活など個人が楽しめる製品開発に力を入れています」

自分の趣味に使いたい、推しのアイテムコレクションに活用したい。そんな個人の熱い思いに応えて、整理と保管と魅せる機能を兼ね備えたアイテムづくりを強力に推進しています。

モノを整理・保管する製品を作る会社だからなのでしょうか。テージー社内にはマニアックなコレクター社員が少なくありません。今回お話してくれたAさんもその一人です。

テージー社内にはマニアックなコレクターが多数。ダムカードマニアも在籍しています(上記は旧製品です)

「小学生の頃から、観光地に設置された自販機で販売している記念メダルを集めていました。周りに同じ趣味の人はいなかったのですが、入社してから同じようなコレクターの方が国内だけではなく海外にも多いことを知って驚きました。みなさん、収集した記念メダルやコレクションをSNSで発信されていて、弊社のコインアルバムに収納してくださっている方も多く、とてもありがたく拝見していました。私がSNSの担当になったこともあり、SNSで同じ趣味の人たちとつながれるんだと感動しました」

同好の士の存在とその情熱を実感したAさんは「ある行動」に出ました。自身が集めている記念メダルの製造元を訪問したのです。

「どこがこの記念メダルを作っているのだろうと調べたら、1970年に開催された大阪万博を機に記念メダルを多数作っている会社でした。当時は爆発的に売れて全国の土産物店にも卸すようになったそうです。旅先や観光地で記念メダルを集める楽しさや手にしたときの高揚感、重厚感をさらにいろいろな方に楽しんでいただけたらという想いで、弊社オリジナルデザインの記念メダルの生産を依頼しました。また、催事での先行販売後にご来場いただけなかった方にも手に取っていただければとオンラインショップで販売することにしました」

Aさんの「記念メダル愛」が実現したともいえるこの取り組み。ラインナップを見てみましょう。円山応挙の「仔犬図」、歌川国芳の「鼠よけの猫」、横山大観の「日本心神」、ミレーの「落穂拾い」、ルノワールの「水浴びする少女たち」、モネの「舟遊び」等など。日欧を代表する名画が美しく記念メダルに描かれています。記念メダルはいずれも金メッキされているのでさびることはありません。重厚感があり、高級感を醸し出す記念メダルの数々。実際に目にして、手に取ると「集めたい!」というコレクターの気持ちを実感できます。

著作権切れの名画を描いたオリジナル記念メダル。高級感があってコレクター心に刺さります。

「月刊ムー」のライセンスを冠した製品開発に挑戦

記念メダルやアルバムといったコレクション製品への取り組みと品質の高さは評判を呼び、同社にはコラボのオファーが多数寄せられるようになりました。「北斗の拳」「キン肉マン」のメダルコレクション専用アルバムにも携わっているそうです。

2023年からは新しくライセンスビジネスにも挑戦しました。UFOから超能力、古代文明、スピリチュアルなど世界の謎と不思議に迫る日本唯一のスーパーミステリー・マガジン「月刊ムー」のライセンスを冠したオリジナル記念メダル、記念メダル専用アルバム、ツバメノートとコラボしたノートやメモ、クリアファイル、CROSS(クロス)のボールペン。「月刊ムー」と提携するというアイデアが実現したのもAさんの行動力の賜物でした。

テージー初の試みとしてライセンス商品に挑戦!ライセンサーは「月刊ムー」です。

「いろいろなご縁がつながり、グッズ提案の機会をいただきました。最初は『え?』という反応でしたが(笑)、すぐにご快諾いただき、初のライセンス商品を手掛けることができました。東武百貨店さんの『昭和レトロ展』に陳列していただいたり、高知県立文学館さんや花やしきさんでの期間限定イベントで販売していただいたり、2024年の『月刊ムー45周年』イヤーを一緒に盛り上げることができてうれしかったです。ライセンス商品を通してさまざまな企業と接点を持ち、つながりが広がっています」

「月刊ムー」のライセンス商品を手掛けたことでイベントにも多数出店。ビジネス領域が拡大しています。

コレクターと同じ目線に立ち、「こんなモノだったらコレクターに喜んでもらえるのではないか」というアイデアが浮かんだら即座に行動するAさんは営業も行いつつ、デザインも手掛け、広報活動やSNS運用、通販事業やリアルでの販売も担当しています。八面六臂に活動するAさんを支えているのが同社のスピーディな行動力と生産力です。

SNSで交流している文具店の担当さんが描いた「テージー商品イラスト」。

「生産部のスタッフもマニアックなコレクターなので相談しやすいんです(笑)。モノづくりのアドバイスはもちろん、コレクター目線のアイデアも豊富でありがたいですし、迅速に開発を進められます。ライセンス商品は広げようと思えばどんどん広げられますが、それではテージーらしくないですし、たくさん出るとお客様も困ってしまうはず。私たちが提供していきたいのは大量生産や大量消費のモノではなく、一人ひとりのコレクターの顔をイメージした商品づくり。集めた大切な収集品を大事におさめたい、飾りたい、眺めたいというコレクターの熱い要望に応えていきたいと考えています」

モノマチ初参加で企画した「モノマチぷちラリーカード」は大好評

モノマチにはコレモ By テージーとして2024年に初参加を果たしました。

「個人的にモノマチを回ってとても楽しかったので、ずっと参加したいと思っていました。社長も周囲の企業とつながりを作っていきたいという考えですし、いろいろな方に弊社のことを知っていただけたらいいなと思って参加を決めました」

モノマチでの企画は、初参加とは思えないほどの規模と楽しさで大好評を得ました。「モノマチぷちラリーカード」です。同社を含め、デザイナービレッジの入居者でもあるオザワデザイン/クッチ、IMAIZUMI、アイリスボタン、カキモリ、Down Town Gear(革と真鍮の2社)、パールヨット、くるみボタン工房MiSuZuYa、ものづくり館byYKK、帽子のサトー、PARACOのパラコード、辨天湯の計13社が手を組んだイベントは、モノマチに数あるコラボ企画の中でも最大級。13店それぞれに異なる「モノマチぷちラリーカード」を5枚集め、コレモ By テージーに持参すると参加企業協賛のプチギフトがもらえる企画は、いってみればスタンプラリーのカード版。テージーらしく、誰もが持つ「コレクター心」にずばり突き刺さるイベントとなりました。

13社が参加した「モノマチぷちラリーカード」はコンプリートを目指すファンがたくさんいました。

「本当は記念メダルにしたかったんですが、納期や費用を考えると厳しかったのでカードにしました。でもただのカードじゃつまらない。そこで前からSNSを見てファンだったオザワデザイン/クッチさんにお声がけをして、カードをデザインしてもらいました。ラミネート加工にしてキラキラに仕上げたいという希望は時間的に無理でしたが、集める楽しさは満喫していただけたように思います。初日に『13店分のカード全部集めました』という方が来られたのには驚きましたね。『モノマチぷちラリーカード』を作成するにあたり、参加店さんのHPやSNSを見たり、現地に行ったりして、自分たちの身近にこんな素敵な会社があるんだとわくわくしました。今回は探り探りでやっていきましたが、次回は早めに情報を発信してさらに盛り上げる企画を練り上げたいです。新商品やコラボの計画もあります。また、モノマチ初参加でしたが、たくさんの方にご来店いただきとてもありがたかったです。営業部のメンバーも『モノマチ楽しかったね!』『次はどんな企画や商品が喜んでもらえるかな?』と積極的にアイデアを出してくれるので、次回のモノマチ参加も楽しみにしています」

誰にも何かしらの「収集癖」はあります。記念メダルのこともあれば、マンホールカードやダムカードのこともある。特定の柄にこだわるという人もいれば、推しているアイドルやキャラクターなどのグッズを収集している人もいるでしょう。収集の規模は小さくても、どんな種類のものであっても、「収集」が自分の世界に彩りを与え、豊かさをもたらしてくれることは間違いありません。テージーはそんなコレクターの満足度を高め、コレクター同士のつながりをサポートしてくれる温かなツールを提供し続けている会社です。

明確な事業理念を掲げ躍進するテージー。いまも進化を続けています。

テージー株式会社
東京都台東区浅草橋2-25-6
TEL:03-3862-5411
URL:https://www.teji.co.jp/
PHOTO : HANAE MIURA
TEXT : FUKIKO MITAMURA

 

ピックアップ記事