素材への徹底したこだわりが生む 優しい着心地のカットソー

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シェールプナアトリエショップ 八木 淳子さん

洋服を選ぶときにはデザインももちろん大切ですが、「肌触りや着心地も大事なポイント!」という方も多いのでは? そんな方にぜひ訪れていただきたいのが、肌に優しいコットン製品を数多く手掛けている「シェールプナアトリエショップ」です。商品へのこだわりやその魅力について、店長の八木淳子さんにお話を伺いました。

抜群の肌触りの良さの秘密は…?

元浅草にある「シェールプナアトリエショップ」は、オリジナルカットソーの企画・製造・販売を行うお店。店頭にはカラフルな糸巻きや手描きの看板が並び、温かな雰囲気で出迎えてくれます。

黒板に手描きされた看板がほっこりした気分にさせてくれます。

オリジナルブランド「シェールプナ」が誕生したのは2001年のこと。当初、アトリエショップは銀座8丁目の裏通りにありましたが、2016年に元浅草に移転し、ブランドの立ち上げメンバーの1人である八木淳子さんが店長を務めています。

「肌触りの良い生地で、日常着られるものをつくりたいと思ったのがブランド立ち上げのきっかけでした。最初のころはもっと幅広いアイテムを扱っていたのですが、次第にカットソーやニットが主軸となり、今のような形になりました」と八木さんは語ります。

店内には、さまざまなタイプのカットソーが並んでいますが、実際に手に取ってみるとまず驚くのが、その肌触りの良さ。まるで赤ちゃんの肌に触れたときのような、なめらかで優しい感触は、ずっと触れていたくなるほどの気持ち良さです。この肌触りの良さはいったい、どのようにして生み出されているのか──その秘密は、素材への徹底したこだわりにありました。

シェールプナのカットソーは、着れば着るほど素材の良さを実感できるそう。

シェールプナのカットソーには、フライス編みという編み方をしたコットン100%の生地が使われています。フライス編みとは、表編みと裏編みを交互に繰り返す編み方で、生地に裏表がなく、伸縮性に非常に優れているという特徴があります。

さらに、生地の元となる糸には、コーマ綿と呼ばれる高級綿糸を使用。コーマ綿とは、綿繊維を撚り合わせる際に表面に残る不要な繊維をそぎ落とす工程を施した糸のことで、このコーマ綿で生地を編むことにより、やわらかな風合いと高級感のある質感が生まれるのです。

「肌があまり強くない私でも、シェールプナのカットソーはオールシーズン着られます。肌触りや着心地にとことんこだわったこの素材がシェールプナの最大の特徴でもあり、この素材の強みがあったからこそ、22年もブランドを続けてこられたのだと思っています」(八木さん)

パフスリーブがフェミニンな印象を与えるタートルのカットソー。質感が美しく、パールのネックレスともしっくりなじみます。

さまざまなニーズにマッチするバラエティに富んだ品揃え

そんな厳選素材を使ったシェールプナのカットソーは、デザインと型紙起こしは八木さんともう1人のスタッフが担当。生地の染色は墨田区の染工場に、縫製は江戸川区の職人に発注しています。

カットソーの生地を生産する工場で使われていた糸巻き機がさりげなくディスプレイされています。

フライス編みの生地は編み上がったときは円筒状ですが、シェールプナではあえてハサミを入れて一枚布にし、脇がわずかにシェイプするように裁断してから縫製しています。こうすることにより、美しいシルエットとフィット感を生み出しているのです。

カットソーは基本的に無地で、デザインもシンプルですが、あらためてよく見てみると、シェールプナのカットソーは実にバラエティに富んでいます。たとえば、定番アイテムのタートルネックは、ノースリーブ、フレンチスリーブ、5分袖、7分袖、長袖というように、袖の違いだけでも5種類を展開。さらに、色はすべてオリジナルカラーで、バリエーションも豊富なので、幅広い品揃えの中からお気に入りの一品を見つけることができます。

袖の違いだけでも5種類あるタートルネック。ほかではあまり見ないフレンチスリーブは、スーツのインナーとしても重宝します。

デザインの違いをイラストでも紹介。

「通年置いている定番の色のほか、シーズンごとに2、3色ずつ新色を出しています。染色をお願いしている染工場では小ロットでも染めてもらえるので、お客様のご要望に応じて急遽、色を追加することもあります。また、襟の形も、折らずにそのまま着られるハイネックや、さらにその半分くらいに短くした“ちびネック”など、お客様からのリクエストにお応えして増やしたアイテムもけっこうありますね。お客様によってコーディネートのしかたや求めるデザインは多種多様なので、あまり季節などにとらわれず、一年を通してさまざまなニーズにお応えできるような品揃えを心がけています」(八木さん)

オンでもオフでも活用できそうな“ちびネック”。ネーミングもかわいいですね。

2023年春の新色、ペパーミントとピンクベージュ。やわらかなパステルカラーは、心がウキウキする春にぴったり。

シンプルでありながら、細部にわたり考え抜かれたデザインが施されたシェールプナのカットソーは、着る人を限定せず、多彩なファッションに取り入れやすいことも大きな魅力。実際、客層も非常に幅広く、20代から80代までという幅広い世代の方に愛用されています。

胸元にレースをあしらったタンクトップは、スーツのインナーにするとさりげなく華やかさを演出できそう。

きれいな配色使いをしたアイテムも。

セレクトで扱うブランドにもぜひ注目を!

シェールプナアトリエショップでは、シェールプナのカットソーのほかに、「イリプレイサボー」というブランドの商品も取り扱っています。イリプレイサボーは、シェールプナの立ち上げメンバーの1人である渡邉憲司さんが2019年に始めたブランドで、そのような縁から、セレクトショップとしての役割も担うようになりました。

シェールプナが編みの生地を使ったブランドであるのに対し、イリプレイサボーは布帛(ふはく=織りの生地)を使ったブランドで、まったく違うタイプのブランドの服を同じ空間で見られることも、シェールプナアトリエショップを訪れる楽しみのひとつです。

セレクトとして扱うブランド「イリプレイサボー」。

イリプレイサボーのブランドコンセプトを渡邉さんに伺うと、

「イリプレイサボーとは、英語で“かけがえのない”という意味で、“着る人の日常に寄り添う、かけがえのない洋服でありたい”という思いを込めています」と教えてくれました。生地は、日本はもちろん、フランスやトルコ、ポルトガル、インドなど世界各地のものをチョイスしていますが、製造はすべて日本で行っています。

イリプレイサボーでは、スカートやジャケット、ワンピースなど、さまざまなアイテムを展開しています。

「日本の丁寧なモノづくりはやはり世界随一だと思うので、“オール・メイド・イン・ジャパン”にはこだわっています。また、八木さんとは似たような道を歩んできたので、扱っている商品は違えど志は同じ、ということもあり、シェールプナとは非常に親和性は高いと思っています。そのあたりをお客様も感じ取ってくださっているようで、2つのブランドでコーディネートを楽しんでくださる方も多くいらっしゃいます」(渡邉さん)

シェールプナの新色・ピンクベージュのタートルに、イリプレイサボーのプリントスカートを合わせて。華やかさのなかにも凛とした雰囲気が漂うコーディネート。

シェールプナの八木さん(左)とイリプレイサボーの渡邉さん。

優しく体にフィットし、さまざまなシーンで活躍してくれるシェールプナのカットソーと、デザイン性の高さ&丁寧なつくりが光るイリプレイサボーの作品たち。ぜひ、実際に手に取って、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

シェールプナアトリエショップ
東京都台東区元浅草2-8-5 イクムラビル1F
TEL:03-6885-3936
URL: https://www.cherpuna.com

Photo by Hanae Miura
Text by Miki Matsui

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